診療方針

Medical Treatment Policy

診療方針

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話し合いを大切に

心臓手術を受けなければならないと宣告された患者さまは計り知れない恐怖に陥ります。そのようなときに「データからいえることは…」「過去の研究からいえることは…」「手術関連死亡率は…」などと話されても不安が助長されるだけです。患者さまが抱いている不安を理解し共有し、外科医ができることを誠実に説明します。外科医が技術に走り、過信することは非常に危険です。心から患者さまのことを考えることができ、たくさんお話をする外科医を目指します。

安全第一の手術

心臓手術を受けなければならないと宣告された患者さまは計り知れない恐怖に陥ります。そのようなときに「データからいえることは…」「過去の研究からいえることは…」「手術関連死亡率は…」などと話されても不安が助長されるだけです。患者さまが抱いている不安を理解し共有し、外科医ができることを誠実に説明します。外科医が技術に走り、過信することは非常に危険です。心から患者さまのことを考えることができ、たくさんお話をする外科医を目指します。

丁寧さと迅速さ

心臓手術を受けなければならないと宣告された患者さまは計り知れない恐怖に陥ります。そのようなときに「データからいえることは…」「過去の研究からいえることは…」「手術関連死亡率は…」などと話されても不安が助長されるだけです。患者さまが抱いている不安を理解し共有し、外科医ができることを誠実に説明します。外科医が技術に走り、過信することは非常に危険です。心から患者さまのことを考えることができ、たくさんお話をする外科医を目指します。
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緊急・重症患者さんの受け入れ体制

我々は患者さんが望む限り、受け入れを断ることはありません。いつでも受け入れる事ができる体制をチーム当番制で整えております。致死的超緊急症例が一定の割合で発生するのが心臓血管外科の特徴です。心臓血管外科を名乗る以上、いつ何時でも受け入れる事ができなければいけないと肝に命じております。紹介医との連絡から手術開始までの時間短縮と、迅速な手術施行に努め、万全の救急医療を提供できるよう努力します。

心臓血管外科コンサルト

すべての成人心臓血管疾患を受け入れています。高齢や併存疾患が多いため、紹介・受診をためらわれる方もおられるかもしれませんが、まずは話だけでも構いませんので、紹介いただけましたら心臓血管外科専門医が対応いたします。緊急症例も24時間365日受け入れ可能な体制を整えています。緊急症例の場合はホットラインにご連絡ください。

心臓手術後の回復について

心臓の手術をしたからといって、数日間集中治療室で絶対安静にする必要はありません。できるだけ早く歩行をし、食事をすることで手術後の回復が促されます。予定手術後であれば、ほとんどの患者さんが、翌日から一般病棟に移り、理学療法士のサポートの下で歩行訓練を行うことができます。元気な方なら手術翌日の朝食も摂ることができます。このような早期離床プログラムを行うことで、80歳以上の高齢者でも、大きな合併症がなければ術後2週間程度で自宅退院が可能となります。自宅に帰ってからも特に運動制限をする必要はありません。体力に合わせて、好きなことをどんどんしていただきたいと思っています。手術の後でも好きなゴルフをすぐに始めたり、フルマラソンに挑戦されたりした方もおられます。

診療内容

安全第一の手術

カンファレンスでは、チーム内でのキャリア関係なく議論します。
どんな意見にも耳を傾け尊重します。
チーム一丸となって患者さんを救いたいという気持ちの現れです。
  • I虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
  • I弁膜症(大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症など)
  • I胸部大動脈疾患(急性大動脈解離、胸部大動脈瘤など)
  • I 腹部大動脈瘤
  • I弁膜症に伴う心房細動
  • I心臓腫瘍
  • I成人先天性心疾患(心房中隔欠損、心室中隔欠損など)
  • I下肢閉塞性動脈硬化症
  • Iそのほか、心臓血管に関するすべての疾患

主な疾患の対応方法/手術

虚血性心疾患

(狭心症・心筋梗塞)
心臓に血液を送る血管のことを冠動脈といいます。
冠動脈が狭くなり(狭窄)、心臓への血流が減少すると、胸が痛くなる胸痛(狭心症)や、
心臓の機能が低下して息切れやむくみといった心不全症状が出現します。
冠動脈が急に詰まってしまう(閉塞する)と急性心筋梗塞を起こして、
命にかかわる状態になることもあります。

図:滋賀医科大学より引用

人工心肺を使わない
冠動脈バイパス手術

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狭心症や急性心筋梗塞の治療法は、冠動脈の狭くなったところを広げるカテーテル治療(風船治療やステント治療)と外科的手術があります。カテーテルを専門とする循環器内科とハートチームを作っており、患者さんそれぞれに合った治療法を相談しながら決定しています。

心臓血管外科では、冠動脈疾患の長期予後に優れている2本の内胸動脈を用いた心拍動下冠動脈バイパス術を行っています。特に、高齢、透析の方など全身の動脈硬化が強い方などが増えてきていますので、人工心肺を使わない体に優しい心拍動下冠動脈バイパス術を提供しています。バイパス術に使用する血管は、患者さんご本人の血管を使用します(これをグラフトといいます)。胸の内側にある内胸動脈、胃の周りにある右胃大網動脈や足の静脈(大伏在静脈)を採取して、冠動脈に移植します

弁膜症

心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をしています。心臓には4つの部屋があって、血液の流れを一定にするためにそれぞれの部屋の間に弁があります。この弁に障害が起きて、心臓に負担をかける疾患を弁膜症といいます。弁が硬くなり血液の流れをじゃまする狭窄と、弁のしまりが悪くなり逆流する閉鎖不全症があります。手術は、悪くなった弁を取り換える人工弁置換術、弁を温存して修復する弁形成術、カテーテルで治す手術があります。それぞれに一長一短がありますので、患者さんの状態、疾患に合わせて最も効果的な治療を決定します。

僧帽弁閉鎖不全症に
対する弁形成術

僧帽弁手術には、人工弁移植と弁形成術があります。特に、僧帽弁閉鎖不全症に対しては、自己弁を温存できる弁形成術を第一選択としており、長期的に見ても生命予後を改善し、合併症発生も抑えることができます。併存疾患さえなければ、内服が不要となるため、患者さんのQOLも向上させることができます。

大動脈弁狭窄症に対する人工弁置換、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)

高齢化社会となり、増加傾向にあるのが大動脈弁狭窄症です。心臓の出口にある大動脈弁が硬く、動かなくなってしまい、心臓に大きな負担をかける疾患です。当院では大動脈弁置換術を第一選択として、良好な成績を出してきました。しかし、ご高齢のため体力が低下した方や、併存疾患のため開胸手術のリスクが非常に高い患者さんも増加しています。そのような患者さんに対して、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)も選択できるようになりました。治療は、循環器内科と協力し、ハイブリッド手術室と呼ばれる、透視装置・人工心肺装置を備えた手術で行います。当院は滋賀県下唯一でTAVIを施行できる施設です。(2020年6月現在)

人工弁について

機械弁 生体弁
素材 チタンやカーボンなど ウシやブタの生体組織
耐久性 30年以上と長い 10年-20年
抗凝固療法 生涯ワーファリンが必要 術後3ヶ月のみ
その他 弁が開閉する時に音が鳴る

弁置換術と弁形成術

弁置換術 弁形成術
利点 ・手術の長期成績が安定している。(特に大動脈弁)
・技術的に確立されている。
・ワーファリン内服が必要なし。
・自己組織なので比較的感染に強い。
欠点 ・ワーファリン内服が必要
・人工弁による感染のリスクが高い。
・技術的に難しいことがある。
主な対象 ・大動脈弁狭搾症
・大動脈弁閉鎖不全症
・憎帽弁狭搾症
・若い方、ワーファリンが内服できない方
・憎帽弁閉鎖不全症
・三尖弁閉鎖不全症

大動脈疾患

急性大動脈解離、大動脈瘤
破裂に対する緊急手術

大動脈に亀裂が入り強烈な痛みを生じる急性大動脈解離、拡大した大動脈が裂けて体内で大出血をおこす大動脈瘤破裂、どちらも突然発症し、数分で生命を落とす可能性のある超緊急疾患です。高齢化社会となり、その発症頻度も増加しています。一刻も早く手術をすることが救命するために重要であるため、当科では他院で診断された患者さんを救急で収容し、そのまま手術室に搬入する方法をとっています。解離した部分や瘤化した大動脈を切除し、人工血管に取り換える手術を主に行っています。

ステントグラフト内挿術

前述の大動脈瘤は年々増加しています。中には複数回手術を必要とする方、開胸開腹手術を受けるにはリスクが高い方も増えてきています。そのような方に対し、血管内治療のステントグラフト内挿術を行っています。 ステントといわれる金属骨格とグラフトといわれる人工血管を組み合わせたデバイスを、足の付け根から挿入し、大動脈内に留置します。それにより、瘤内に直接血圧がかからないようになり、破裂を予防することができます。胸部下行大動脈瘤や腹部大動脈瘤に対して行っています。また、最近では大動脈解離の亀裂部分の閉鎖にも使用し、解離で生じた偽腔の早期閉鎖に活用しています。